こんにちは、さかいみるです。
今日は湖畔の村のちいさなおはなし第9話です。
第9話「メチャくんがかぜをひいた。」
クシュン!コホコホ。。。
「鼻が乾いてる。ぼく、どうやら風邪をひいたみたいだ。」
メチャくんは蒔きストーブの前のソファにこしかけて、ひざかけをかぶりました。
コホコホ。。。コホコホ。。。
そしてそのまま、ウトウトと眠ってしまいまた。
ぶるっと寒くなって目が覚めかけたとき、ふわっと優しく暖かなものに包まれ、
目を開けてみると、いつのまにか屋根裏からストーブの前に移動しているバスケットベッドの中で
ふくふくの毛布にくるまっていました。
蒔きストーブの上にはしゅんしゅんとお湯が沸き、ぼんやりとみんなの姿が見えます。
「メチャくん、目さめた?」
コロちゃんが心配そうにのぞきこみます。
「メチャくん、目をさましたんだね。」
ひまわりさんがあたたかいおかゆを持ってきてくれました。
「メチャくんが目をさました!」
ハリーも風邪によく効く薬草の煎じ茶を手にしています。
そして、チコちゃんが額のタオルをかえてくれました。
「メチャくん、ぼくのとっておきのはちみつ、はい。」
コロちゃんが両手でスプーンを持ってメチャくんの口にひとさじいれてくれました。
そうして、あたたかい毛布にくるまれたメチャくんは、
みんなの静かな話し声と、しゅんしゅんというお湯の沸く音が重なって、
やさしい音楽を聴いているような気持ちになりました。
「ぼく、さっきまであんなにふるえていたのに、今はおなかも胸の奥の方もポカポカだ。。。」
そう思いながらまた眠りの国の扉を開くのでした。